少子化の正体

「80・2.0の壁」とは?

はじめに

           なぜ「もののけ姫」なのか 

 新型コロナ感染症パンデミックによって「新しい生活」が推奨されています。しかしながら、その希望に満ちた言葉の響きとは裏腹に、現実は「日帰り刑務所の囚人」としての暮らしです。帰宅しますと、かつては他人の侵入を防ぐために独房をロックしていましたが、今では自分が脱走しないようそうしています。いうなれば自綱自縛の模範囚です。

また私の作業所は独房近隣ですが、昼間はサルのように食べてイヌのように働いています。

 サルは群れで生活していますが実質的には個食で、下かよそを向いてこっそり食べます。おいしいものを格上のサルに見られると横取りされるからでしょう。向かいあって食べるのは人間のほかは、ゴリラだけだそうです。ゴリラは珍しいフルーツが十分に手に入ると分け与えるのです。つまり食物を分け与える習性があるから、向かい合って食べるのです。それに人間が忘れた「十分」ということを、ゴリラは知っているようです。イヌのように働くは周知のとおり英語の慣用句です。

私にとっての「新しい生活」は、このようにゴリラから遥かに下ったイヌやサルの暮らしへの退化なのです。が、幸いにも思考は制限されていませんから、今回のパンデミックについて、「外出自粛」なるつれづれによもやま考えてみました。頭に浮かんだことを、そのまま独り事で語るのは老後の楽しみに残しておいて、その内容を書くことにしました。

ただ「ウイルスとは何か」とかについて、なけなしの知識で説明し出すと誰も読んではくれませんし、興味があれば、いっそ覚悟を決めて専門書を読んだほうが正確です。

 ではどのような構成でまとめたら良いか考えて、ふと思い出したのが「もののけ姫」でした。説明するまでもないでしょうが、スタジオジブリのあの映画のことです。そこには森林を伐採しようとするタタラ場と、それを阻止しようとする森の生き物たちの葛藤が描かれています。

 あらためて映画を鑑賞してみますと、完全とも言えるほど今回のパンデミックとの重なりがあります。どこがどう似ているのか、数行では書けませんから、これから折に触れて言及することにします。

まずは重要な登場人物であるアシタカが腕に負った「呪い」は、実はウイルス感染だったという前提で、この物語を振りかえり、そのなかでウイルスや細菌についても書いてみたいと思います。またシシ神は、足が鳥で角は樹木のように見えますが、なぜあのような姿になれたのか、ウイルスの働きを使えば説明できなくもありません。

 また今回の新型コロナ感染症が、私たちの日常生活のみならず社会活動全般を制限していることの裏返しで、私たちの営みの多様な要因が、実はウイルスを引き出し蔓延させています。したがって話題は病原体といったミクロの世界のみならず歴史や文化に至るまで、広い視野から「コロナの時代」を、とらえてみたいと思います。