2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧
食物連鎖 シシ神の森の動物たちは、山犬・イノシシ・シカ・ネズミです。姿を見せるのはこれだけですが、ほかにもウサギ・リス・コウモリなど多種が生息しているでしょう。 しかも森が侵食されなければ、これらの動物の個体数は一定で、生態系のバランスをと…
「水平遺伝」 哺乳類はまず両親からのブレンドされた遺伝子を受け継ぎます。これが通常の遺伝で、垂直方向の伝達です。シシ神にはそれがないとしますと、垂直方向以外からの伝達が行われたと考えるしかありません。これがいうなれば水平遺伝で、生物学的に正…
夜の姿のデイダラボッチは確かに森を司る神のイメージです。それに引き換え昼の姿は、なにか奇妙です。もっとも神々の偶像は、現代でもいたるところにあるのですが、実際の神を見た者はいません。偶像は神の姿として先祖たちから延々と受け継がれた固定概念…
シシ神の森の崩壊から、いわば550年あまりが過ぎて発生した新たな「呪い」すなわち新型コロナウイルス感染症は地球全体に蔓延しました。アシタカが感染したナゴウイルスの解明と同じ要領で、この新型ウイルスについてマクロとミクロの視点から迫ってみま…
「東洋のペスト」を掘り起こした遠因はパクス・ブリタニカ 今回の新型コロナ感染症は、中国武漢での症例報告からわずか2ヶ月ほどで全世界に広がりました。原因はグローバル化によって人々の往来が活発になっていたからとされています。グローバリゼーション…
この章では、いわゆる黒死病すなわち中世のペストの流行をなぞることで、「もののけ姫」の時代から今日の「コロナの時代」までをひとつなぎにしてみたいと思います。ペストの流行によって突然に平穏な暮らしが壊されたという印象もあるでしょうが、けっして…
日が沈み今にもデイダラボッチに変身しようとするシシ神の首を、エボシが石火矢で狙おうとした瞬間に、石火矢に草や木の芽が吹き出すように生えてきました。まるで長い年月、森に放置され風化したかのような状態に一瞬で変わったのでした。シシ神がそれほど…
唐傘連とは何者か。素性は明らかにされていませんから、またトンデモ説を展開するしかありません。まず言えることは、師匠連を、石火矢を持つ機動部隊としますと、唐傘連はおそらく科学部隊だということです。 根拠となるキーワードは「不老不死の力」それか…
エボシ御前のプロフィール? タタラ集団を率いるエボシは、この物語の重要人物です。しかしその素性についてはまったく触れられていません。仕方がありませんから、ここで「トンデモ説」を展開してみましょう。結論からいいますと、彼女は日本から明国へ朝貢…
エボシは売られた娘たちを買い戻しては、タタラ場に連れて来たと、アシタカにだれかが語ります。トキもおそらくはそのうちの1人でしょう。では娘たちは、なぜ売られたのでしょう。また買ったのはだれなのでしょうか。それはこの物語では明らかにされていま…
当時の京では、災害や飢饉があるたびに疫病が蔓延しました。その代表的なものが天然痘です。この感染症は、人類史に大きな影響を与えてきました。日本も例外ではなかったのです。室町時代には痘瘡、平安期には疱瘡といわれていたようです。正体は、1980…
この章では、「もののけ姫」の時代背景から、キャラクターたちのプロフィールを浮かび上がらせて、彼らにとってのタタラ場とは、どのような場所だったのか、考えてみたいと思います。 通貨はなかった まず里に下りてきたアシタカは、街道が交差するあたりの…
ヒイ様はタタリ神となった巨大イノシシのナゴの守を弔い、塚を築きました。それはすべての生き物の御霊を神のもとへ届ける縄文人の末裔でもあるエミシの慣習によるものだったのかも知れません。 しかしこの行為は、巨大イノシシがナゴウイルスに感染していた…
スタジオジブリ製作の映画「もののけ姫」は、時は室町時代末期ごろに日本の東北部にある先住民族エミシの里で平穏に暮らす少年アシタカの前に、荒れ狂う巨大なイノシシが現れるところから始まります。「ナゴの守」という通称を持つことからして、この特別な…
なぜ「もののけ姫」なのか 新型コロナ感染症のパンデミックによって「新しい生活」が推奨されています。しかしながら、その希望に満ちた言葉の響きとは裏腹に、現実は「日帰り刑務所の囚人」としての暮らしです。帰宅しますと、かつては他人の侵入を防ぐため…